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京都の、とある小さな牛乳屋に生まれ、長い独身時代を経て結婚。幸せをかみしめながら、出逢った人みんなに感謝の心を届けられますように。


by milkshop-KT3

好青年

いつ頃からだったかな
そうそうたしか
ハヤシさんのお野菜を店頭で扱うようになった頃からだったと思います。
今までは見かけたことのないお客様がいらっしゃるようになりました。
年のころ20~30代
黒い帽子
黒いTシャツ
黒い短パン(と言っても七分丈) に ぞうり履き。
黒いかばんを肩から斜めにかけて
少し古ぼけた感じのオレンジ色の自転車で来られては
お野菜、調味料、お菓子なんかを
ちょこっとずつ買っていかれます。
そして2、3日したら またいらしてくださいます。
あるときは朝
また あるときはお昼間。
母と「あのお客さん、最近よく来てくれはるね」なんて話しつつも
「いらっしゃいませ」や「ありがとうございました」くらいしか
声をおかけすることはありませんでした。

何回かお見かけするようになって
ある朝
ハヤシさんのお野菜が入荷した直後にお見えになったので
お野菜を並べながら
「あ、お早うございまーす。お野菜、今入ったところですよ♪」と
笑顔で話しかけてみたら
少し驚いた目をして見られ
「は、はぁ」
………
うーん、初めて声をおかけするには ちとフレンドリーすぎたかな。


その後、また何回か買い物に来てくださり
今度はそのお客様の方から話しかけてこられました。

「アルバイト、募集されてるんですか」

手書きの「アルバイト募集」の紙が戸口に貼ってあるのをご覧になったのでしょう。
興味をお持ちになったのかな?と思い、
「はい。宅配商品のサンプル配布と、商品説明などをお願いしてまして…」
「はぁ」
「あの、営業のお仕事でして…」
「はぁ」
………
「あ、まぁ、どなたかいい方がいらっしゃったら…是非ご紹介ください」
「はぁ」
………
うーん、なんだったんだろう?
ま、店のお客様の中には話のネタに張り紙の事を軽く聞かれる方もいらっしゃったし
きっとこの方もそういうノリだったのかな。


それからまた何度か来てくださるうちに
「すいませーん」と言いながら入って来てくださるようになり
そうこうしていたら
とうとう 今日

「アルバイト、今も募集されてるんですか」
と、聞かれたのであります!

あら、またしても!
と、いうことは…サンプル配布の仕事に興味があったんだ?
「はい、募集、してます。お考えくださってる…んですか?」
「ええ、はぁ」

そこから、時間のことや仕事の内容などいろいろお話しし
「こういったケースにサンプルを入れて、自転車やバイクの荷台に乗せて…」
などと言いながら、クーラーケースをお見せしたりすると
お客様、いきなり外へ出て
表に止めてあるご自分の自転車を確認し始められました。
私が慌てて後から外へ出ると、お客様は自転車を見ながら
「こいつだいぶ古いんですけど、これで周れますかね?」
と尋ねられました。
「うーん、前のかごも、荷台もないんですねぇ。どうやってサンプルを運んでもらいましょうか」
「…(独り言のように)ロープで固定して…。あ、とにかく今度 履歴書書いて持ってきます」
「そうですか。ではその時にまた詳しく。どうぞ宜しくお願いします」



って、ことで
近々に アルバイトの人がもう1人増えてくれそうです。
そのお客様に対しての印象
今までなんとなく感じてはいましたが
話してみて その感じが より強くなりました。
「無口だけど とても誠実そうな人」です。
営業のお仕事的にはどうなのか まだわからないけど
きっと どんなことでも丁寧に取り組まれる方のような気がするのです。
見るからに好青年、とはいかないまでも(失礼!)
間違いなく
好青年。


これもまた 新しい出会い だなぁ。
まだお名前も知らない 好青年さん。

履歴書持って いらっしゃる日が


たのしみ、たのしみ





♪みちこ
by milkshop-KT3 | 2009-10-13 22:43 | 日記