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京都の、とある小さな牛乳屋に生まれ、長い独身時代を経て結婚。幸せをかみしめながら、出逢った人みんなに感謝の心を届けられますように。


by milkshop-KT3

夕立

先日、お昼から激しい夕立がありました。

午前中 あんなに晴れていた空が
オレンジがかった灰色に変わって
湿り気たっぷりの雲が
どろどろとやってきたかと思うと

ポツ  ポツ …



母の
「そら来たっ」
を合図にするかのように

ドシャーッッ!


あれは、見事でした。





子供の頃は、夕立が大嫌いでした。
学校から帰る頃になると
必ずと言っていいほどのタイミングで
ざぁざぁ降って来るんですもの。
雷にびくつきながら
やっとの思いで帰ってきたのに
家に着くといつの間にかもう止んでる
なぁんてこと 結構あったなぁ。


今は、そんなに嫌いじゃなくなりました、夕立。
あんまり暑いと
ひとつザーッと来てくれたら
ちょっとは涼しくなるのに
と、思えるようになったんですよね。
降るなら降る
短時間で思いっきり降り尽くす
あの潔さが気持ちいい。

どうせすぐに止んでくれるとわかっているので
店の中からのんびり見ています。
(外を歩いている人はたまったものじゃありませんね…)




さて、その夕立が降り始めて
「うわぁ、今日のはきついなぁ」
と、事務所で大きな雨音を聞きながら半ば感心していると

「すいま…せん」
という声と共に
店の戸がするすると開くのが聞こえました。

「いらっしゃいま…」

店に出てみると
おやおや、これまたびしょぬれのお客様。
途方に暮れた様子で立ちすくんでいらっしゃいます。
学生さんでしょうか、手にはリュック。もちろんこちらもびしょびしょ。
買い物に来た方ではないということは一目でわかりました。


「あのぉ、大きなビニール袋ってありますか?」

「へ、大きなビニール袋?えーっと…ちょっと待ってくださいね」


大きなビニール袋。

指定されたゴミ袋以外ではゴミを出しても回収してもらえなくなってから
しばらく経ちます。
ちょっと前なら
ゴミ袋なんてたくさんあって
青いのであろうと黒いのであろうと
すぐに出してあげられたでしょうが
それらを使わなくなった今となっては なかなか…。

しかし幸運にも 1枚、ありました。よかったよかった。


「すいません。ありがとうございます」

ビニール袋を渡すと、学生さんはさっそく
かばんの上からかぶせ始めました。
前髪から雫がぽたぽた。

「これも、よかったら持って行って」
仕入先さんからいただいた「粗品」の袋を開けてタオルを渡しました。

「あぁ、どうもすいません」


ビニール袋の大きさは
かばんを入れるのにちょうど良かったようです。
ようやく学生さんの顔に笑顔が灯りました。
よかったよかった。



「ここのガレージで ちょっと雨宿りしていかはったら」

「あ、いえ、はい。じゃぁ…どうもすいません。ありがとうございます。
…このお礼に、今度 お米 買いに来ます」




夕立のことですもの
雨は しばらくしたら嘘みたいに止みました。
空はテラテラと光り
風は知らん顔で通り過ぎていきます。

まぁ そんなものです。




いかにも最近の若者っぽく
何度も 首を前に突き出すように会釈しながら
「健康のお手伝い ○○株式会社」
とかなんとか書かれた仕入先さんのタオルを手に店を出て行った学生さん。

「すいません」と「ありがとう」の連発が
なかなか気分の良いひとときでした。




こちらこそ

ありがとう。








♪みちこ
by milkshop-KT3 | 2007-09-18 00:51 | 日記