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京都の、とある小さな牛乳屋に生まれ、長い独身時代を経て結婚。幸せをかみしめながら、出逢った人みんなに感謝の心を届けられますように。


by milkshop-KT3

お付き合い

私は日頃
店の奥にある事務所で仕事をしています。
事務所のパソコンの前に座っていることが多いのです。
パソコンの前から離れて店のレジカウンターに立つのは

お客様が来られたとき
運送屋さんが来られたとき
たまに飛び込みの営業の方が来られたとき

これくらいです。


先日
「こんにちはー」と声がするので
いつものように
「いらっしゃいませ」と店に出ました

そこにはスーツ姿の2人の男性が立っていました。
1人は…40代かな。
小太りで眼鏡をかけています。
もう1人は…20代でしょう。
ほっそりしてうつむき加減、店の戸口から様子をうかがっています。

(あぁ、営業の人だ。)

小太りで眼鏡をかけた男性が言いました。
「どうも突然にお邪魔して。おたくはK新聞をお取りですか」

「え、はい」 表情を硬くして 私。

営業の人だと分かった瞬間の
私の反応は決まっています。
紹介される商品がどんなものであっても
「断る」態勢。
が、それにしても。

名刺も渡さず
自分が何者であるかを伝える前に
「おたくは○○ですか」
なんて
随分ぶしつけじゃありませんか。

私は心の中でつぶやきました。
(マイナス5ポイント)


『小太り眼鏡』は続けます。
「そうですかぁ~、うちも3ヶ月 お試しで取っていただけませんかねぇ~」
「いえね、この3ヶ月は無料ですよ、無料でいいんで」
「K新聞さんはね、どれだけ長く購読しても安くならないんですよ」
「うちはA新聞なんですがね、その点のサービスが充実…」

私が相槌を打とうが打つまいが
お構いなしに話し続ける『小太り眼鏡』。
一方の『ほっそり』は、相変わらず店にも入ってきません。
戸口でうつむいているだけです。

なんなの、この2人?
(マイナス10ポイント!はい、残念!)

『小太り眼鏡』を遮って 私が口を開きます。

「すみませんねぇ。
K新聞さんとはご近所のよしみもあって、随分長いことお付き合いをさせてもろてるんです。
よそさんの新聞はお断りさせていただきます」

「あ、そうですか」


あっけなく立ち去る『小太り眼鏡』と『ほっそり』。

2人の後姿を見て思いました。

「無料」だの「安いサービス」だの
そんな言葉を連発すれば
どんな客でもホイホイ来ると思ったら大間違い。
うちがK新聞さんと重ねてきた
その「お付き合い」は、「歴史」は
安モンの新聞なんかで変えられるか!


そしてふと、気付きました。

うちの店のたくさんのお客様も
もう何年も何年もの間
うちの店の牛乳を飲んで下さっています。
ヨーグルトを食べて下さっています。

きっと今までに
たくさんの販売店から営業マンがお客様のお宅へ来ては
いろんな商品を勧めていったことと思います。
でも
それでもうちのお客様は
「このお店で長いことお世話になっているので」

断って下さってこられたのでしょう。



本当にありがたいことだなと思います。


「商売」は、人がやるものです。
特に地域のそれは、「お付き合い」なくしては成り立たないものです。
値段の高い、安い では
片付けることの出来ない
「つながり」
この店なら大丈夫という
「信頼」


改めて
お客様に支えていただいているありがたさを感じ
胸がいっぱいになりました。



ありがとう、『小太り眼鏡』 そして『ほっそり』。




とても大事なことに気付いたのも

あなたたちの おかげです。






♪みちこ
by milkshop-KT3 | 2008-11-27 23:02 | 日記