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京都の、とある小さな牛乳屋に生まれ、長い独身時代を経て結婚。幸せをかみしめながら、出逢った人みんなに感謝の心を届けられますように。


by milkshop-KT3

送り火

8月16日
京都の山々に火が灯りました。

五山の送り火 です。


我が家では 例年
足の悪い祖母以外は全員 屋上に上がって
赤々と燃える山を見ながらワイワイ盛り上がります。
家族で焼肉パーティーをするのです。
五山を見わたせるロケーションに住んでいるのは
実はちょっぴり自慢だったりします。

今年は
春に 横浜から京都に越してきた叔母さん夫婦もご招待。


屋上では、昼間に何度も水をまきました。
水をまいて 乾かして
使わなくなったカーペットを敷き
その上に低いテーブルを置いて 周りに座布団を並べました。

陽が西に傾いた頃
シャツに短パン姿の義兄が
いよいよ頭にタオルを巻きます。
戦闘開始の合図 であります。


小型のバーベキューセット 2台
炭を並べて火をつけて
汗だくになってうちわでバタバタ。
今年は私も加勢しました。
右に左にうちわを持ち替えて
メラメラと上がる炎に
驚くほど汗が流れてきます。
うちわがしなります。
のどが渇きます。

傍らには氷でいっぱいにしたクーラーボックス。
その中には もちろん
キリッと冷やした 冷たぁいビール…


うちわでの格闘に腕も肩もくたくたです。
ぎりぎりのところまで我慢して
うーん もうだめだ、と

たまらずに プシュッ!!



あぁ、このときの「旨さ」といったら…





嫁いだ妹は
毎年 旦那さんの実家でこの日を過ごしますが
今回は 旦那さんが出張中ということもあって
久々にうちで過ごすと言って
お友達を連れてやってきました。

4歳の姪っ子は
夕方にたっぷり寝たので充電万全です。
普段と違う 事の成り行きに興奮を隠せません。
それでも、カーペットの上におそるおそる足を乗せて
「おばあちゃん、裸足で歩いてもいいの?」
と、確認しています。


7時前になると、全員がそろいました。
あちこちでビールを開ける音、音。
「かんぱーい」の声。
「はい、これサラダね」
「みっちゃん、ドレッシング 取ってぇ」
「お皿 ここに置くね」

ちょうど炭もいい具合に仕上がって
お肉や野菜がどんどん焼かれ
みんなもどんどん食べて、飲みました。



山に火がつくのは夜8時ちょうど。

「大文字」のど真ん中が1番です。
ここは、最初に灯って 最後まで燃え続けるのです。
うちから見ても
炎の形がはっきり分かるくらいですから
現場はきっと
ものすごく大きな火柱なのでしょう。
火をたきながら
その火を見ながら
京都の人々はご先祖様を想ってきたのですね。


大文字
妙法

左大文字
そして 鳥居


今年も全ての山々が
美しい火で ご先祖様をお送りしました。



「だいもんじ、もう一回 咲いて!」

消え行く炎に向かって 4歳の姪っ子。
「咲いて」という表現には参りました。
きっと本人にとって
「山が咲いた」という言葉がぴったりだったんだろうな。

子供のことばには 時々はっとさせられます。



京都の地に生まれ育ち
ほぼ毎年見ている五山の送り火。
その歴史も何も詳しく知らないけれど
その只中に生きていることが
嬉しくもあり
また、誇らしくもあります。

この先、どこへ行こうと
言いようのないこの気持ちは 変わらないと思う。





また 来年も
こうして みんなで 送り火を迎えよう。




京都の夏が 過ぎていきます。






♪みちこ
by milkshop-KT3 | 2007-08-17 23:14 | 日記