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京都の、とある小さな牛乳屋に生まれ、長い独身時代を経て結婚。幸せをかみしめながら、出逢った人みんなに感謝の心を届けられますように。


by milkshop-KT3

温習会

生まれて初めて
「温習会」というものを観に行ってきました。


「毎年、華やかに温習会が催される祇園甲部歌舞練場に隣接して、女紅場(=八坂女紅場学園)があります。明治初年、京都の各所に女紅場(にょこうば)と称する女子教育の場が設けられました。祇園の女紅場もその1つとして設立されたもので長い歴史を持っています。
祇園の女紅場は、祇園甲部の芸妓舞妓たちが学ぶ学校です。教科内容は、京舞、長唄、地唄、小唄、常盤津、清元、鳴物に茶道や能楽など。各部屋は教室と呼ばれ、毎年の温習会はこの女紅場学園の一年の学習成果を披露する発表会にあたります。」
………(中略) 
「坪内逍遥は、明治40年に発表した『日本舞踊の現在及び将来』の中で京都祇園の学校を「芸妓に必要な限りのあらゆる芸事を秩序だてて教えている。」と感嘆しています。」

-「温習会」パンフレットより-



舞妓さんや芸妓さんたちの発表会。
そんなものが毎年秋に催されているなんてこと
私はちっとも知りませんでした。

恥かきついでにバラしちゃいますと
私は「平安神宮」の中に入ったことがないのですよね。
三十何年かの この人生の中で一度も…。
「平安神宮」だけではありません。
京都の観光地のほとんどを 私はよく知りません。

あぁ、京都に住んでおきながらなんて恥ずかしいことなんでしょう。
こんなことではいけませんね。


ま、反省会は後々一人でやるとして。

「温習会」です。

「1年間 習って温めてきたことを、お披露目する場」なのです。

育ててくださった周りの皆様に
自分達の成長ぶりを見ていただく。
そんな場を毎年設けているなんて
それも明治の時代から。



演目は
上方唄…「鳥追 (とりおい)」
長唄 …「鉢かつぎ姫 (はちかつぎひめ)」
長唄 …「娘七草 (むすめななくさ)」
義太夫…「菜種の乱咲 (なたねのみだれざき)」
地唄 …「長刀八島 (なぎなたやしま)」
上方唄…「紅葉の賀 (もみじのが)」 
以上の6つでした。



舞台からは粉おしろいのやわらかな香り。
三味線の音や唄の声に合わせて
優雅に舞を舞う舞妓さんや芸妓さんたち。
艶やかな着物に身を包んで
輝くばかりのライトを浴びて
だらりの帯がキラキラと映えます。

小道具の紅葉の枝をゆるやかに手に取り
右 左 右 と振って
かすかに首を傾ける…

お着物は 胸元こそぴっちりとあわせてありますが
後ろを向くと 程よく抜かれた襟から
真っ白な首すじ。
「おぉお…っ!」
女の私でも思わずうっとり見とれてしまいましたデス。


演目が進むにつれ 落ち着きを取り戻してきた私。
舞台の上の舞を見て
ふと気付いたことがありました。
舞妓さんたちは演目の間ずっと
表情を変えません。
「笑い」「怒り」「悲しみ」「困惑」「安堵」…
全てを
顔の表情や声ではなく
しぐさで表現しています。
首のまわし方、足の運び、腕の上げ下ろし、その速さ、そして 音。
顔の表情意外で
使えるものを全て使って感情を表している、といった感じです。

もう1つ。
例えば男女のやり取りで
「行くな」「放して」「いいや 放さぬ」「放してったら!」ドン!(相手を突き飛ばす)
なんて場面や
複数の人間が思いがけずぶつかって
ドカッ!「あいたっ」
なんて場面。
現代のドラマでもありがちなものだと思いますが
こういう 一瞬のシーンこそ
かなりゆっくり しかも 音ナシで見せていました。

人の感情が強く動く場面を
わざとじっくり見せることで
観客に より深くインパクトさせる…

「ならでは の 工夫」を
垣間見たように思いました。



いやぁ、それにしても夢のような2時間弱。
私はただただ圧倒されていましたよ。
幾多の変化こそあれ
百年以上の歳月をへて
今の自分が目にすることが出来るなんて。
海外文化の素晴らしさもいいけれど
日本にはかくも奥深く美しいものがあったんだ。
山々に囲まれた古の土地で
先人が育んできた文化。


日本で よかった。

京都で よかった。


映画とも、演劇とも違う
滅多にお目にかからないものを目の当たりにして
ああいう世界もあるんだなぁなんて
ひたすら感動したりして。
単純にも「今度 着物でも着てみようか」とか思ったりして。

そういえば
初めて「フットルース」という映画を観たときも
なんだか体がワクワクして
無性に踊りだしたくなったりしたっけ。


影響受けやすいなぁ。




なんだかだんだん恥ずかしくなってきた。




まぁ、芸術の秋 ってことで。








♪みちこ
by milkshop-KT3 | 2007-10-06 23:08 | 日記